僕が店でレジを担当してる時に、小汚いおっさんが来てね。その小汚いおっさんは1000円ぐらい買って帰ったんだけど、数分してまた戻ってきてなんか怒鳴ってんの。やっべーなんか俺ミスしたかと思ったけど、違う、どうやら買った商品を誰かにパクられたらしい。小汚いおっさんはスーパー行ってる間に自転車に荷物を置いてたらしくて、それを誰かに持って行かれたんだと。 小汚いおっさんは怒り心頭で、あたり構わず喚いちゃって買い物客の主婦とかびびって避けてる。結局また僕のとこに同じ商品を買いにきて、僕を相手にさんざん文句をたれる。僕はただ「はあ、そりゃ災難でしたねえ」とか言う。
っていう出来事があってね。 その小汚いおっさんが最後に「まあ、パチンコで1000円負けたと思う事にするわ」そう言って帰っていったんですが。そこで僕は目が覚めた。おっさん良い奴やんって。 これはなかなか本心から言えない言葉だと思うんですよね、でもその時のおっさんの口ぶりは正に本心から言ってるように思えた。なぜならそのおっさんにっこり笑ってたから。顔がもう変わってた、さっきまで怒りが極限に来てしわくちゃに変形した顔、小汚い感じがより一層増して禍禍しくなってたんだけど、なんと最後には神さまみたいな笑顔でにっこり微笑んで「まあ、パチンコで1000円負けたと思う事にするわ」だって。もうやられたね。 ああ、この人は全部許したんや、荷物をパクッた犯人も不注意な自分もこの不条理な社会も不運な運命も何もかもを、すげーおっさんやなあ、見た目小汚いけどそれがかっこいいぜおっさん! がんばれおっさん! 感動した。 立場が逆で果たして僕はこのおっさんの様に許せるかなあ、と思うと、まだまだ俺はなんぼのもんじゃい! なんだかんだで最後にはにっこり笑って許せる人間になりたいよね。それができたら人間関係で怖いもん無しだ。 |  |
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